コラムColumn
タグ「制度」のコラム
特定技能と技能実習の違いを徹底比較|制度・目的・採用の考え方をわかりやすく解説

株式会社ジェイ・エス・ピーのコラムをご覧いただき、ありがとうございます。
近年、人手不足を解消するため、外国人材の雇用を考える企業が増えてきました。
しかし外国人材の採用を検討する中で、「特定技能」と「技能実習」の違いが分かりづらく、採用を迷っている企業の方も多いのではないでしょうか。
どちらも外国人が日本で働くための在留資格ですが、制度が作られた目的や前提は大きく異なります。
その違いを十分に理解しないまま検討を進めてしまうと、「想定していた働き方と違った」「現場とのズレが生じた」といったミスマッチにつながることも。
そこで本記事では、特定技能を軸に、技能実習との違いを「制度の目的」「働き方」「在留期間や将来設計」といった観点から整理して解説していきます。
特定技能と技能実習の違いとは?まずは制度の目的を整理

特定技能と技能実習の違いを理解するうえで、最初に押さえておきたいのが「制度の目的」です。
この前提を誤ってしまうと、その後の業務設計や人材への期待値にもズレが生じやすくなります。
まずは、それぞれの制度が何のために作られたのかを整理してみましょう。
制度の目的そのものが異なる点が大きな違い
まず押さえておきたいのが、制度の目的そのものが違うという点です。
技能実習制度は、本来「日本で培われた技能や技術を母国へ持ち帰ってもらう」ことを目的とした制度。
そのため、働き方も「労働」というより「実習」という位置づけで設計されています。
一方、特定技能制度は、日本国内で深刻化している人手不足に対応するために創設された制度。
特定の産業分野において、一定の技能・日本語能力を持つ外国人が、即戦力として就労することが前提となっています。
制度目的の違いが運用や関わり方に影響する
この「育成・技能移転が前提か」「人手不足を補う労働力としての受け入れか」という目的の違いが、業務内容、在留期間、企業側の関わり方の違いにつながっています。
特定技能と技能実習の違い|業務範囲・働き方・転職の扱い

制度の目的が異なれば、実際に現場で任せられる業務や働き方にも違いが出てきます。
ここでは、採用後の運用をイメージしやすいように、業務範囲・働き方・転職の扱いという観点から整理します。
任せられる業務範囲と働き方の違い
制度目的の違いは、現場での働き方にも表れます。
技能実習の場合、あらかじめ作成された実習計画に沿って業務を行うため、
「どの作業をどの段階で経験させるか」が細かく決められているケースが多くなります。
即戦力としてフルに業務を任せる、というよりは、技能習得の過程を重視した運用になります。
一方、特定技能は、対象となる産業分野の業務に実際に従事することが前提です。
そのため、現場の一員として配置し、日常業務を任せていくことが想定されています。
転職の扱いの違いと採用時の注意点
また、転職の扱いにも違いがあります。
技能実習は原則として転職が認められていませんが、特定技能は一定の条件を満たせば転職が可能です。
この点は「デメリット」と捉えられがちですが、見方を変えると、
採用時の業務説明や職場環境のすり合わせが、より重要になる制度とも言えます。
期待値のズレを防ぐことが、定着につながる大きなポイントです。
特定技能と技能実習の違い|在留期間・1号・2号と将来設計

特定技能と技能実習を比較する際、企業の方から特に多く聞かれるのが
「どのくらいの期間、働いてもらえるのか」
「長期的な戦力として考えられるのか」
といった在留期間や将来設計に関する点です。
ただし、在留期間の長さだけで制度を選んでしまうと、
採用後の役割設計や育成方針が曖昧になり、ミスマッチにつながることもあります。
ここでは、技能実習・特定技能1号・特定技能2号の違いを整理しながら、
企業側がどう考えるべきかを解説します。
技能実習の場合|期間が決まった「実習」を前提とした制度
技能実習は、技能や技術を習得し、母国へ持ち帰ってもらうことを目的とした制度です。
そのため、在留期間や働き方も「長期雇用」ではなく、「一定期間の実習」を前提に設計されています。
- 制度の位置づけ:技能習得・国際貢献を目的とした制度
- 在留期間:原則として最長5年
- 更新の考え方:号・段階ごとの段階制
- 就労の考え方:実習計画に基づいた業務が中心
- 転職:原則として不可
- 家族帯同:不可
在留期間があらかじめ決まっているため、
企業側としては「一定期間の戦力」として位置づける必要があります。
長期的なキャリア形成や定着を前提とした採用には向きにくい制度です。
特定技能1号の場合|中期的な戦力として設計しやすい制度
特定技能1号は、人手不足分野で即戦力として働いてもらうことを目的とした在留資格です。
技能実習と異なり、「就労」が前提となるため、現場業務を担ってもらうことが想定されています。
- 制度の位置づけ:人手不足分野での就労を目的とした制度
- 在留期間:更新制だが、通算で5年が上限
- 更新の考え方:要件を満たせば更新可能(通算5年まで)
- 就労の考え方:即戦力として現場業務に従事
- 転職:一定の条件を満たせば可能
- 家族帯同:不可
通算5年という上限があるため、
企業側は「いつ頃から戦力として任せたいのか」「どこまでの役割を担ってもらうのか」を
逆算して設計することが重要になります。
また、技能実習を修了した外国人が特定技能1号へ移行するケースも多く、
日本での就労経験がある人材を採用できる点は大きなメリットです。
特定技能2号の場合|長期雇用を見据えた中核人材向けの制度
特定技能2号は、より熟練した技能を持つ外国人を対象とした在留資格です。
在留期間の上限がなく、家族帯同も認められているため、
長期的な雇用やキャリア形成を前提に考えやすい制度です。
- 制度の位置づけ:熟練人材としての就労を想定した制度
- 在留期間:上限なし(更新制)
- 更新の考え方:制限なく更新可能
- 就労の考え方:現場の中核人材としての活躍が期待される
- 転職:一定の条件を満たせば可能
- 家族帯同:可能
ただし、特定技能2号は対応している分野や試験要件が限られています。
すべての職種・分野で移行できるわけではないため、
2号を視野に入れる場合は、事前に要件をしっかり確認することが欠かせません。
在留期間だけでなく「役割設計」から制度を選ぶことが重要
在留期間の長さは、制度選択の一つの判断材料ではありますが、
それだけで決めてしまうのはおすすめできません。
重要なのは、
- どの業務を任せたいのか
- どの程度の期間で戦力化したいのか
- 将来的にどんな役割を期待するのか
といった採用後の姿を具体的に描いたうえで制度を選ぶことです。
この視点を持つことで、
特定技能・技能実習それぞれの制度を、より効果的に活用しやすくなります。
まとめ
特定技能と技能実習は、名前が似ていても、制度の目的や考え方は大きく異なります。
どちらが良い・悪いという話ではなく、自社の課題や現場の状況に合った方を選ぶことが何より重要です。
特定技能は、人手不足を補うための制度である分、
採用後の業務設計やフォロー体制まで含めた準備が、成果を左右します。
制度選びで迷ったときは、「手続きができるか」だけでなく、
採用後にどう活躍してもらいたいのかを軸に考えてみてください。
その整理が、定着につながる第一歩になります。
